ごあいさつ
山田洋次(1931年生まれ)は、国民的映画として知られる『男はつらいよ』シリーズ(1969~95)をはじめ、『幸福の黄色いハンカチ』(1977)など、数々の名作を手がけてきた、まさに戦後日本を代表する映画監督です。『東京家族』(2013)、『家族はつらいよ』(2016)では、ポスターやタイトルデザインを西脇市出身の美術家横尾忠則(1936年生まれ)が手がけて大きな話題を呼びました。映画とアート、映画とグラフィックデザインというジャンルも表現も個性もまったく異なる二人の芸術家は、折に触れて互いの交流のきずなを大切にしながら、それぞれの芸術を深めてきたといえるでしょう。
本展覧会では、山田洋次と横尾忠則の交流をはじめ、それぞれの作品テーマと主人公に光をあてながら、『幸福の黄色いハンカチ』をテーマにした、家族の祈り、希望、人々の思いと願いの空間を創ります。『男はつらいよ』シリーズに登場する渥美清演じる主人公の車寅次郎こと、フーテンの“寅さん”には、山田洋次と横尾忠則の特別な思いが寄せられ、二人の斬新な発案による“寅さん”のための特別な部屋を用意しました。その結果、本展、“寅さん”、横尾忠則の涅槃像コレクション、ピンクガールズの連作、黄色いハンカチと西脇の播州織と映画の記憶、フィルム映画文化への監督の深い関心が響きあい、対話を交わす合作の展覧会となっています。
銀幕の中で旅をし、マドンナに恋して憧れる“寅さん”は、ここでは映画の枠に収まらないもうひとりの“寅さん”となり、ピンクガールズとの出会いを果たします。映画とともに生きる“寅さん”と二人の芸術家の世界、山田洋次と横尾忠則によるコラボレーションと想像力の発露による展覧会をぜひお楽しみください。